なぜmAhではなくWhで判断するのか
モバイルバッテリーのパッケージにはmAh(ミリアンペア時)が大きく書かれていますが、航空規定が使うのはWh(ワット時)です。mAhは電圧を含まない電荷量だけの値なので、電圧が違えば同じmAhでも実際に蓄えられているエネルギー量が変わってしまいます。発火の危険は電荷量ではなくエネルギーの総量に関係するため、規定はWhを基準にしています。
換算は単純です。Wh = mAh × 電圧(V) ÷ 1000。リチウムイオンセルの公称電圧が通常3.7Vなので、20,000mAhの製品なら約74Whになります。ただし内部でセルをどう接続しているかによって実際の電圧は変わるので、製品や説明書にWhが直接書かれているならその値を使うほうが正確です。
2026年4月24日に何が変わったか
機内でのバッテリー発火事案が続いたことを受け、規定が段階的に厳しくなっています。以前は座席上の収納棚への収納が禁止され、乗客が身につけて持つよう変更されました。さらに機内でモバイルバッテリー本体を充電すること、およびモバイルバッテリーから他の機器へ給電することが禁止されました。
そして2026年4月24日からは、容量にかかわらず1人2個までという個数制限が加わりました。以前の基準を覚えたまま複数個を持って行くと空港で困ることになるので、出発前に個数をもう一度確認してください。なお、この2個という制限は160Wh以下のものに限った話で、160Whを超えるものはそもそも運べません。
2027年1月に上限が下がる可能性
IATA(国際航空運送協会)の規定変更により、2027年1月以降は上限が100Whに制限される可能性があると各社が案内しています。まだ確定した内容ではないため、この計算機は現行の160Wh基準で判定しています。
ただし、これから大容量のモバイルバッテリーを買うのであれば、100Wh(3.7Vで約27,000mAh)以内を選んでおくほうが安全です。100Wh超160Wh以下は今でも一部の海外航空会社で事前承認を求められる区間であり、将来使えなくなる可能性も残っています。
空港で止められないために
もっとも多い失敗は、預ける荷物にモバイルバッテリーを入れてしまうことです。リチウム電池は貨物室で発火すると初期消火が難しいため、預け入れそのものが禁止されています。荷造りのときにPCバッグやスーツケースの内ポケットに入れたまま忘れることが多いので、預ける前にもう一度確認してください。
容量の表記が消えている、あるいは最初から書かれていない製品も問題になります。規定に適合しているかを確認できないと持ち込みを断られることがあるので、表記が読める製品を持って行くほうが安全です。端子に絶縁テープを貼る、個別のポーチに入れるといった短絡対策も求められています。
計算に使った基準
- Wh = mAh × 電圧(V) ÷ 1000 · 既定電圧 3.7V(リチウムイオンの公称電圧)
- 100Wh以下: 手続きなしで機内持ち込み可 · 100Wh超160Wh以下: 一部の海外航空会社で事前承認が必要
- 160Wh超: 機内持ち込み・預け入れのいずれも不可
- 2026年4月24日から容量にかかわらず1人2個まで(160Wh以下に限る)· 預け入れ禁止 · 座席上の収納棚への収納禁止 · 機内での充電・給電禁止
- 100Wh以下の予備電池は個数制限なし · 100Wh超160Wh以下の予備電池は2個まで
このページは一般的な案内です。規定は随時変わり、航空会社や国によって異なる場合があるので、最終的な確認は利用する航空会社の案内で行ってください。