税込から税抜は「引く」ではなく「割る」
税込1,100円の本体価格は1,100 ÷ 1.1 = 1,000円です。ここで「税込から10%を引く」と1,100 − 110 = 990円になりますが、これは誤りです。掛け算で増えたものは割り算でしか戻りません。
逆向きは掛け算です。税抜1,000円なら1,000 × 1.1 = 1,100円。軽減税率なら1.08で同じことをします。税抜を出す割り算のほうだけ間違えやすいので、ここだけ覚えておけば十分です。
8%になるのは2つだけ
軽減税率の対象は次の2つに限られます。
- 飲食料品(酒類・外食を除く)
- 定期購読の新聞(週2回以上発行されるもの)
これ以外はすべて10%です。「食べ物なら8%」と覚えると外れます。酒類は飲食料品でも10%、同じ弁当でも店内で食べれば外食として10%です。医薬品・医薬部外品も飲食料品ではないので10%になります。栄養ドリンクが商品によって8%だったり10%だったりするのは、医薬部外品かどうかで分かれるからです。
水道水は10%、ミネラルウォーターは8%
どちらも飲めるのに税率が違います。水道水は風呂や洗濯にも使う生活用水と混ざって供給されており、飲食用だけを切り分けられないため、飲食料品として扱われません。ペットボトルに詰めて人の飲用として売られるミネラルウォーターは飲食料品なので8%です。
同じ考え方で、食用の氷は8%、保冷用の氷やドライアイスは10%です。氷そのものではなく「何のために売られているか」で決まります。
みりんは10%、みりん風調味料は8%
分かれ目は酒税法上の酒類(アルコール分1度以上)に当たるかどうかです。本みりんはアルコール分が約14度あるため酒類となり10%。みりん風調味料は1度未満なので飲食料品として8%です。
同じ理由で、ノンアルコールビールや甘酒(アルコール分1度未満)は8%、ビール・ワイン・日本酒は10%になります。料理酒は商品によって分かれ、塩を加えて飲用できないようにしたものは酒類にあたらないため8%です。
イートインか持ち帰りかで変わる
軽減税率の対象から「外食」が除かれているためです。外食とは、テーブルや椅子など飲食のための設備がある場所で食べさせるサービスを指します。同じ商品でも、店内の席で食べればそのサービスの提供なので10%、持ち帰れば飲食料品の譲渡だけなので8%です。
判定は、店側が意思確認をした時点での客の申し出によります。持ち帰ると言って8%で買ったあとに気が変わって店内で食べたとしても、さかのぼって差額を払う必要はありません。
出前・宅配は届けるだけなので8%、ケータリングや出張料理は現地での提供サービスを伴うので10%です。学校給食や有料老人ホームの食事は、一定の条件のもとで8%とされています。
一体資産 — 1万円以下かつ食品が3分の2以上
食品と食品以外があらかじめ一体になっていて、全体の価格しか提示されていないものを一体資産といいます。おもちゃ付きのお菓子や、食器とお菓子のギフトセットがこれにあたります。
全体が8%になるのは、税抜価格が1万円以下で、かつ食品部分の価額の占める割合が3分の2以上のときだけです。どちらか一方でも外れれば全体が10%になります。税抜1万5千円のギフトセットは、中身がほぼ食品でも金額で条件を外すため10%です。
逆に、食品と食品以外を別々の価格で表示している場合は一体資産ではありません。その場合はそれぞれの品目ごとに税率を判定します。
10%と8%の内訳、そして「旧8%」
10%は国税である消費税7.8% + 地方消費税2.2%、軽減税率8%は国税6.24% + 地方消費税1.76%です。
ここに落とし穴があります。2019年9月までの旧8%は国税6.3% + 地方1.7%という別の内訳でした。合計は同じ8%でも中身が違うため、経理では旧8%と軽減8%を分けて記帳する必要があります。
このページの根拠
- 税率 — 標準10%(国税7.8%+地方2.2%)/軽減8%(国税6.24%+地方1.76%)・国税庁 タックスアンサー No.6102
- 軽減税率の対象 — 酒類・外食を除く飲食料品、週2回以上発行の定期購読新聞
- 一体資産 — 税抜1万円以下 かつ 食品の価額割合が3分の2以上で全体が軽減対象
- 酒類の判定 — 酒税法上の酒類(アルコール分1度以上)は軽減対象外
- 水道水 — 生活用水と混然一体で供給されるため軽減対象外(国税庁 個別事例編Q&A)
個別の取引の判定に迷う場合は、国税庁の「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」または税務署・税理士にご確認ください。