睡眠時間の計算機

起床時刻と年齢を入れると、何時に寝ればよいかを計算します。眠れなかった日に昼寝を何分とればよいかも合わせて計算します。

1. 何時に寝ればよいか

目安の睡眠時間を確保するには

2. それだけ眠れないなら

今日実際に確保できる睡眠時間を入れてみてください。どれだけ足りないか、それをどう補うのがよいかを計算します。

足りない睡眠

3. 昼寝は何分がよいか

夜間の睡眠を5時間に制限した実験で、昼寝の長さを比べた結果です。上で入力した開始時刻をもとに、効果がいつからいつまで続くかを計算しました。

昼寝起きる時刻効果が出る効果の終わり評価

30秒・90秒の「ちょっと目を閉じる」については別の実験があり、測定できる改善はまったくありませんでした。昼寝には効果が出はじめる最小の長さがあります。

この計算機がほかの睡眠計算機と違うところ

睡眠計算機の多くは90分を正確な周期と決めて「22時45分に寝てください」と時刻を1点で指し示します。ところがその精度は実測データに裏づけられていません。この計算機はその事実を隠さず、代わりにそのせいで本当に重要になるもの——総睡眠時間と、足りないときの手当て——を計算します。

90分周期が精密になりえない理由

まず平均からして違います。369人の睡眠ポリグラフ6,064周期を解析した2024年の研究では、周期の長さの中央値は96分(平均99.5分)でした。頭皮下脳波で測った2025年の研究では98±29分です。

ただし6分の差は本質ではありません。本当の問題はばらつきのほうです。同じ研究で周期と周期の間の変動係数は29.3%ありました。標準偏差が29分あるということは、5周期をつないだときの累積誤差が29 × √5 ≈ 65分になるということです。周期ひとつの半分を超えます。「23時15分に寝れば5周期後の7時に周期が終わる」という計算の実際の意味は「6時ごろかもしれないし8時ごろかもしれない」です。この幅では、合わせるという発想そのものが成り立ちません。

しかも周期は等間隔でもありません。実測では第1周期が92±29分と短く、第2周期は111±29分と長い。90分を掛け算するだけの計算は、最初の周期からずれはじめます。

決定的なのは、眠りが足りない人ほどずれるという点です。睡眠圧が高い状態では第1周期のノンレム睡眠が長くなることが同じ研究で確認されています。周期計算をいちばんしたくなる状況で、計算がいちばん合わないわけです。

公的な資料の書きぶりも、じつのところ一致していません。厚生労働省のe-ヘルスネットは「約90分周期」としつつ、ノンレム-レム睡眠周期を90-120分とも記しています。米国のNHLBIは80〜100分・一晩に4〜6回、豪州のSleep Health Foundationは個人差が約60〜110分あるとしています。ひとつの数字に決まっていないことが、資料の側からも読み取れます。

ですからこの計算機は就寝時刻を点ではなく幅で出します。幅が広く見えるなら、それが正直な幅です。

代わりに確かなもの — 総睡眠時間

周期の切れ目は当てられなくても、総量は正確に計算できます。そして健康の結果と結びついているのも総量のほうです。

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月)は成人について「適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する」としています。本文ではおおよそ6〜8時間が適正と説明されています。若い層はもっと必要で、小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間が目安です。この計算機はその区分でそのまま判定します。

なお同ガイドの推奨事項に未就学児の数値はありません。根拠のない数字を置くくらいなら扱わないほうがよいので、この計算機は6歳以上を対象にしています。

この数字が世界共通でないことも書いておきます。米国のAASMとSleep Research Societyは成人7時間以上、韓国の公的資料は7〜8時間としており、日本は6時間以上です。同じ計算機でも言語版によって判定の基準が変わるのはそのためで、この日本語版は厚生労働省の基準で判定します。どれかが間違っているのではなく、幅のどこを目安として示すかが違います。

そして、周期ひとつに合わせるために40分削るのは方向が逆です。切れ目より総量のほうが確かです。

眠れなかった日 — 昼寝は10分

ここがこの計算機のいちばん言いたいところです。「7時間眠ってください」は、4時間しか眠れない人には何の答えにもならないからです。

夜間の睡眠を5時間に制限したうえで午後3時に5分・10分・20分・30分の昼寝をとらせて比べた実験があります。結果は直感と違います。

別の研究では30秒・90秒の昼寝も試されましたが、昼寝をとらなかった場合と比べて測定できる改善はまったくありませんでした。つまり効果には最小の長さがあり、その上は長いほどよいわけではありません。

なぜ30分が逆効果なのか — 深い睡眠から起きるから

機序が実測で見えています。30分の昼寝は徐波睡眠(深い睡眠)を平均14.7±5.7分ためこみ、参加者の80%がその深い睡眠から目覚めていました。一方10分の昼寝では徐波睡眠は0.8±1.5分しかなく、80%が浅い段階2から目覚めていました。

深い睡眠から無理に起こされたときのぼんやりした状態は、学術的にはsleep inertia(睡眠慣性)と呼ばれます。ただし正直に付け加えると、この研究の著者自身も徐波睡眠だけの独立した効果を切り分けることはできなかったと述べています。2019年の総説も、深い睡眠と sleep inertia の関係について明確な結論を出すのは難しいと留保しています。向きは一貫していますが、確定した因果ではありません。

同じ原理は実務でも確認されています。NASAが長距離路線の操縦士を対象にした研究では、計画された40分の休憩機会のうち93%で実際に入眠し、平均睡眠時間は26分でした。このときの睡眠の中身は徐波睡眠が8%、レム睡眠は0%で、深い睡眠まで行っていません。結果は反応速度が10〜16%改善でした。

★いちばん重要な注意 — 自分の感覚を信じない

同じ昼寝の実験から出た結果のうち、もっとも実用的なのはこれです。30分の昼寝をとった人たちは客観的な検査の成績が落ちた状態だったにもかかわらず、本人は昼寝の前よりよくなったと評価していました。しかも昼寝後の4つの測定時点すべてで統計的に有意に(p<0.001)そうでした。

つまり主観的なすっきり感と実際の回復が逆に動いたわけです。「寝たらすっきりした」という感覚は回復の証拠になりません。ハンドルを握るときや重要な判断を控えているときは、感覚ではなく時計で管理するほうが安全です。

この事実は、この計算機が「すっきり起きられる時刻」を約束しない理由でもあります。すっきり感は自分では判定できない指標です。

年齢は効き、性別はほとんど効かない

寝つく時刻の傾向(クロノタイプ)は確実に年齢を受けます。約2万5千人を調べた研究では、寝つく傾向は思春期から遅くなっていき20歳ごろにもっとも遅くなったあと、そこからは年齢とともに前倒しに転じます。著者たちはこの転換点そのものを「思春期の終わりを示す生物学的な指標」として提案しました。

変化の幅も小さくありません。15歳から25歳までの10年間だけで約1.9時間動きます。10代が夜に寝ないことを、怠けているとだけ見るわけにいかない理由です。

一方で性別の差は計算に入れるほどの大きさではありません。同じ系列の研究では、男女差がもっとも大きいのが21.6歳の0.27時間(16分)で、41.4歳で消え、そこからは向きが反転して女性のほうが遅くなり、79.1歳でまた消えます。最大16分しかないうえに中年以降は符号まで変わる値なので、入力をひとつ増やしても得るものがありません。だからこの計算機は性別を尋ねません。

必要な睡眠時間そのものが性別で違うという一次資料は、今回の調査では確認できませんでした。確認できれば反映します。

高齢者は「眠った時間」ではなく「床上時間」で見る

睡眠ガイド2023は高齢者について方向を逆にしています。「長い床上時間が健康リスクとなるため、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保する」。床上時間とは眠っていた時間ではなく、布団の中で過ごした時間の合計です。眠れないまま長く横になっているのは休息を増やしていることにならない、という考え方です。

この違いは計算にそのまま効きます。8時間眠るつもりで寝つくまでに15分かかれば、床上時間は8時間15分です。睡眠時間だけを見ていると目安の内側に見えますが、床上時間では超えています。ですからこの計算機は65歳以上の場合、睡眠時間ではなく床上時間のほうで警告を出します。

同ガイドは脳波の計測に基づく年齢別の値も挙げています。15歳前後で約8時間、25歳で約7時間、45歳で6.5時間、65歳で約6時間と、成人後は20年ごとに30分程度の割合で夜間の睡眠時間が減っていきます。若い頃と同じだけ眠れないことを、異常だと考える必要はないということでもあります。

日本ではどれだけ眠っているか

令和元年の国民健康・栄養調査では、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人が男性37.5%・女性40.6%でした。厚生労働省が目安としている6時間以上を、4割近くが満たしていないことになります。

季節も効きます。睡眠ガイド2023は「夏季に比べて冬季に10〜40分程度、睡眠時間が長くなる」と述べています。同じ生活をしていても冬に長く眠るのは自然な変動なので、夏の睡眠時間をそのまま冬の目標にする必要はありません。

一晩の中身が均一でないことも、短い睡眠が特有の形で響く理由です。e-ヘルスネットによれば、レム睡眠は睡眠の後半に向かって一回ごとの時間が増えていき、一晩の睡眠全体では約20%を占めます。8時間を5時間に削ると3時間が均等に減るのではなく、後半に配置されていたレム睡眠の多い部分から偏って削られます。

計算に使った基準

これは時刻を決めるための道具であり、医学的な助言ではありません。寝つけない・途中で何度も目が覚める・日中に眠気が続くといった状態が続く場合は、医療機関に相談してください。就寝時刻の計算では解決しない、治療の対象になる状態があります。昼寝についての目安も、健康な成人の一時的な睡眠不足を前提としたものです。

2026-08-03 時点で確認しました。根拠: 周期の実測 Cajochen et al., Sleep Health 2024;10:S52-S62(中央値96分・平均99.5分・周期間の変動係数29.3%、6,064周期/369人)· Leguia et al., Brain Commun 2025;7(6):fcaf469(98±29分、第1周期92±29分 第2周期111±29分)· 昼寝 Brooks A & Lack L, Sleep 2006;29(6):831-840(夜間5時間制限・午後3時/10分が総合1位で即座に発現し155分持続、20分は35分後に発現し125分、30分は起床直後に低下区間)· 機序は30分が徐波睡眠14.7±5.7分で80%がSWSから覚醒、10分は0.8±1.5分で80%が段階2から覚醒 · 主観と客観の乖離 p<0.001 · Tietzel & Lack(30秒・90秒の昼寝は改善なし)· NASA TM-108839(40分の休憩機会の93%で入眠・平均睡眠26分・SWS8%・REM0%・反応速度10〜16%改善)· クロノタイプ Roenneberg et al., Curr Biol 2004;14(24):R1038-9(20歳ごろが最大の遅れ、N≈25,000)· 性差 Fischer et al., PLoS One 2017(最大16分・41.4歳で消失し以後反転)· 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月): 成人は6時間以上を目安・本文「おおよそ6〜8時間が適正」・小学生9〜12時間・中学高校生8〜10時間・高齢者は床上時間が8時間以上にならないこと・年齢別(15歳約8時間 25歳約7時間 45歳6.5時間 65歳約6時間、20年ごとに約30分減)・季節変動「夏季に比べて冬季に10〜40分程度長くなる」· 厚生労働省 e-ヘルスネット: 約90分周期/ノンレム-レム睡眠周期90-120分・レム睡眠は一晩の約20% · NHLBI(米国): 80〜100分・一晩4〜6回 · Sleep Health Foundation(豪州): 個人差約60〜110分 · 令和元年国民健康・栄養調査: 平均睡眠6時間未満が男性37.5%・女性40.6% · sleep inertia の総説 Hilditch CJ & McHill AW, Nat Sci Sleep 2019;11:155-165。料率や法令が変われば更新します。