からだの計算機

体に関する数字には、必ず個人差の幅があります。この3つは幅があることを隠さずに出します。一点で言い切るほうが親切に見えますが、それは当たっているのではなく、外れていることが見えなくなっているだけです。

基礎代謝 — どの式で計算したかで数字が変わる

基礎代謝量の計算が主に表示するのは、国立健康・栄養研究所の式(Ganpuleらの2007年の研究にもとづく式)です。

よく知られているHarris-Benedict式(1919年)やMifflin-St Jeor式(1990年)は、どちらも欧米人のデータから作られています。体格や体組成が違うため、日本人に当てはめると実測値からずれることが知られています。この計算機は日本人を対象に作られた式を主に出し、比較のためMifflin-St Jeor式の値も並べるので、どれくらい差が出るかがその場で分かります。

式は 基礎代謝量(kcal/日)=(0.0481 × 体重kg + 0.0234 × 身長cm − 0.0138 × 年齢 − 定数)× 1,000 ÷ 4.186 で、定数は男性0.4235・女性0.9708、対象は18〜79歳です。係数を見ると性質が分かります。体重1kgあたり約11.5kcal、身長1cmあたり約5.6kcal増え、年齢1歳ごとに約3kcal減る。10年で30kcalほどです。

減量の目安が計算どおりに進まない理由

体脂肪1kgはおよそ7,200kcalに相当するといわれ、1日500kcalの赤字なら理論上1週間で約0.5kgのペースです。ただし減量が進むと体重が減るぶん基礎代謝も下がるので、同じ摂取量では赤字が小さくなっていきます。数週間ごとに実際の変化を見て調整するほうが確実です。活動係数(1.2 / 1.375 / 1.55 / 1.725 / 1.9)を正直に選ぶことも効きます。デスクワークの人は自分で思うより活動量が少ないことが多いので、迷ったら一段階低いほうが実際に近いといわれます。

睡眠 — 90分周期に合わせることは、そもそもできません

睡眠時間の計算機がほかと違うのはここです。多くの睡眠計算機は90分を正確な周期と決めて就寝時刻を一点で指しますが、その精度は実測データに裏づけられていません

369人の睡眠ポリグラフ6,064周期を解析した2024年の研究では、周期の長さの中央値は96分(平均99.5分)でした。ただし6分の差は本質ではありません。問題はばらつきのほうで、周期と周期の間の変動係数は29.3%。標準偏差が29分あるということは、5周期をつないだときの累積誤差が 29 × √5 ≈ 65分 になるということです。周期ひとつの半分を超えます。

しかも周期は等間隔でもありません。実測では第1周期が92±29分と短く、第2周期は111±29分と長い。決定的なのは、眠りが足りない人ほどずれることです。睡眠圧が高い状態では第1周期のノンレム睡眠が長くなるため、周期計算をいちばんしたくなる状況で計算がいちばん合いません。

ですからこの計算機は周期に合わせようとしません。代わりに確かなもの、つまり総睡眠時間を計算します。厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は成人について6時間以上を目安とし、本文ではおおよそ6〜8時間が適正と説明しています。小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間です。画面に出る幅は周期の誤差ではなく、目安の睡眠時間そのものが幅を持っていることの表れです。

眠れなかった日は10分の昼寝

「7時間眠ってください」は、4時間しか眠れない人には答えになりません。そこで2番の欄は、起きなければならない時刻から逆算して何時に横になり何時に起きるかを出します。

夜間の睡眠を5時間に制限したうえで午後3時に5分・10分・20分・30分の昼寝をとらせて比べた実験があります。結果は直感と違い、10分の昼寝が総合1位でした。起きた直後からすべての指標が改善し、一部の効果は155分まで持続します。30分では徐波睡眠に入ってしまい、そこから起こされるため起床直後にかえって成績が落ちる区間ができます。長く寝るほどよいわけではありません。

ランニング — サブ3・サブ4に必要なペースは割り算で出る

ランニングペース計算は距離とタイムからペースを、ペースから完走タイムを出します。

「サブ3」はsub-(under)の意味で、その時間を切ることです。必要なペースは距離で割るだけで、42.195kmを3時間なら 180分 ÷ 42.195km = 1kmあたり4分15.95秒。4時間なら5分41秒、3時間30分なら4分59秒、5時間なら約7分07秒です。

ただしこれはちょうどその時間になるペースなので、実際の計画では数秒の余裕を持たせます。給水で止まる時間、混雑でのロス、後半の失速。サブ3を狙う人が4分10秒前後、サブ4なら5分35秒前後で刻む計画を立てるのはこのためです。

多くの大会は5kmごとに計測しているので、通過タイム表をそのまま照らし合わせられます。マラソンでいちばん多い失敗は前半の突っ込みで、序盤は体が軽く周りに引っ張られて計画より速く入り、30km以降で払わされます。5km地点で計画より1分速いなら、それは貯金ではなく借金だと考えたほうが安全です。ハーフからフルを見積もる目安は「ハーフのタイム × 2 + 10分前後」ですが、後半の失速幅は練習量で大きく変わるので、出発点として使ってください。