3つの計算機は「何で割るか」だけが違う
偏差値と平均とパーセントは、別々の話に見えて式の骨格が同じです。どれもある数を別の数で割って、位置や比率に直しているだけで、違うのは割る相手です。偏差値計算機は平均からの差を標準偏差で割り、平均・標準偏差の計算は合計を個数で(加重平均なら重みの合計で)割り、パーセント計算機は増減を元の値で、割合を全体で割ります。
そう並べると、つまずく場所も1か所に集まります。答えが合わないときの原因はたいてい計算ミスではなく、分母に何を置いたかの取り違えです。だから「25%」とだけ渡されても、何で割った25%なのかが分からなければ、受け取った側には元の数字が復元できません。
このページは3つの使い分けと、行き来するときにひっかかる場所をまとめたものです。式そのものの説明と計算例は、それぞれのページに置いてあります。
どれから開くかは、手元にある数字で決まる
使う順番は決まっていません。持っている数字によって入口が変わります。
- 得点・平均点・標準偏差がそろっている — 偏差値計算機にそのまま入れて終わりです。
- 標準偏差だけがない — 先に平均・標準偏差の計算にクラスの点数を並べ、出てきた値を偏差値計算機へ移します。模試の成績表とちがって学校の定期テストではこの形になりがちです。
- 偏差値は載っているが標準偏差がない — 道を反対向きに歩きます。偏差値・得点・平均点の3つがあれば標準偏差のほうを割り出せるので、そこを埋めれば1つ目と同じ状態に戻ります。
- 点数を知らず、順位だけ分かる — 偏差値計算機の順位欄です。ただしそこから出る偏差値は推定で、受験者が少ないほど当てになりません。
- 点数ではなく金額や比率の話 — パーセント計算機です。割引・増減率・歩合・税抜税込はこちらに集めてあります。
2つ目と3つ目は同じ道の行きと帰りです。得点・平均点・標準偏差・偏差値の4つは、どれか3つが分かれば残り1つが決まると覚えておくと、成績表に何が載っていても手が止まりません。
平均・中央値・加重平均のどれを見るか
- 平均と中央値が離れていたら、代表値としては中央値を採ります。離れ具合そのものが読み取るべき情報です。
- 科目ごとに単位数や配点が違うなら加重平均です。単純平均のつもりで加重平均の枠に入れても、重みを同じ数字でそろえておけば答えは変わりません。
- 偏差値を出すのに要るのは平均と標準偏差の2つで、中央値は使いません。中央値だけ見て偏差値を語ることはできません。
上位%とパーセンタイルは、足すと100になる
偏差値計算機に順位を入れると、上位%とパーセンタイルが同時に出ます。この2つは向きが反対です。上位%は自分の順位が全体の何%の位置かを表すので小さいほど上、パーセンタイルは自分より下にいる割合なので大きいほど上になります。
240人中21位なら、上位8.75%であり、同時にパーセンタイル91.25です。足すとちょうど100になります。同じ成績が8.75とも91.25とも表示されるわけで、どちらの数字を渡されたのかを確かめないと、良し悪しの読みが丸ごと裏返ります。
もうひとつ、偏差値計算機の中には出どころの違うパーセンタイルが2つあります。得点から出るほうは分布に当てはめた推定値、順位から出るほうは実際の人数を数えた値です。順位が分かっているなら数えたほうが確かで、推定のほうは「点数の散らばりが正規分布に近い」という前提の上に立っています。満点が多いテストではその前提が崩れます。
偏差値と歩合は、どちらも目盛りの言い換え
偏差値計算機は偏差値と一緒にZスコアを表示します。この2つは別々の指標ではありません。Zスコアの0が偏差値の50、Zスコア1つ分が偏差値の10にあたります。0を中心に小数で動く値を、50を中心にした2桁の数へ置き直したものが偏差値です。
同じことがパーセント計算機の歩合でも起きています。3割5分と35%は違う情報ではなく、同じ比率を別の呼び方で読んだだけです。歩合の欄がパーセントとの間を両方向に変換できるのはそのためで、変換しても中身は増えも減りもしません。
目盛りが変わると情報ではなく感覚が変わります。Zスコア0.5と言われてもピンときませんが、偏差値55なら位置が浮かびます。打率も0.35より3割5分のほうが会話に乗ります。換算した先の数字が大きく見えても、それは目盛りが変わっただけだという一点だけ押さえておけば、両方の欄を安心して行き来できます。
「10%上がった」と「偏差値が10上がった」は別の話
点数の話をしていると、パーセント側の言葉と偏差値側の言葉が混ざります。この2つは直接には変換できません。
平均60点のテストで75点を82.5点まで上げたとします。点数は10%増えました。標準偏差が15点のテストなら、偏差値は60から65へ5だけ動きます。ところが標準偏差が5点のテストなら、まったく同じ10%増で偏差値は80から95へ15動きます。点数の増減率はそのテストの中だけで完結しますが、偏差値の動きはほかの受験者の散らばり次第です。
逆向きも同じです。「偏差値を5上げたい」は、そのままでは勉強の目標になりません。点数に直すと必要な差は標準偏差の半分で、標準偏差15点のテストなら7.5点、5点のテストなら2.5点です。同じ「5」でも、テストが変われば重さが3倍違います。目標偏差値の欄は、この読み替えを毎回やっているだけの機能です。
基準を自分で決められないときは、両方を出す
この3つには、答えを1つに絞らず並べて出している場所が2か所あります。どちらも基準を利用者が選べない場面です。
1つはパーセント計算機の税抜税込です。渡された金額が税抜なのか税込なのかは、受け取った本人にも分からないことがあります。だから片方に決めさせず、「税抜だとしたら」「税込だとしたら」を同時に出します。もう1つは平均・標準偏差の計算にある2種類の標準偏差で、母集団と標本の両方を並べます。全員分を握っているのか、そこから一部を抜き出したのかで選び分けるもので、受験者がそろう学校の成績なら母集団のほうです。
どちらも、決め打ちして1つだけ出すより、2つ並べて選んでもらうほうが速いという同じ判断です。逆に言えば、この2か所で結果が2行あるのは表示の親切ではなく、どちらかを選ばないと答えが決まらないという合図です。
入力するときに気をつけること
3つとも、値がおかしいときは黙って0を返さず理由を出します。標準偏差に0以下を入れれば0より大きい値を求められ、順位が受験者数を超えれば指摘され、割引率に100超を入れれば止まります。結果欄が「—」のままなら、計算できない入力になっているという合図です。
数値をまとめて入れる平均・標準偏差の計算は、貼り付けに強く作ってあります。成績表や表計算からコピーした形のまま貼れるので、区切り文字をそろえ直したり、全角の数字を打ち直したりする必要はありません。