数値の計算機

70点は良い点でしょうか。平均が40点なら良く、80点なら悪い。数字は単独では意味を持たず、何を基準にしたかで答えが変わります。3つとも、その基準を明示的に扱う道具です。

偏差値 — 難易度の違うテストを並べるための物差し

偏差値計算機の式は 偏差値 = 50 + 10 ×(得点 − 平均点)÷ 標準偏差 です。平均と同じなら50、標準偏差1つ分上なら60になります。

点数そのままではだめなのは、テストによって難易度が違うからです。平均40点のテストの70点と、平均80点のテストの70点はまったく違う成績です。偏差値は平均と散らばりで割り戻すので、別のテストどうしを比べられます。模試の判定に使われるのはこのためです。

ここで効いてくるのが標準偏差です。同じ「平均+15点」でも、標準偏差が5点なら偏差値80、15点なら60、30点なら55。みんなの点数が固まっているテストで平均を大きく上回るほうが、ばらけているテストで同じ点差をつけるより価値が高いという考え方です。

10上げることの重さは、上に行くほど変わる

得点が正規分布に近いとみなすと、偏差値から上位何%かが決まります。偏差値50は上位50%、60は上位約15.9%、70は上位約2.3%、80は上位約0.13%です。

50から60への10は「真ん中から上位16%」ですが、60から70への10は「16%から2.3%」。同じ10でも中身の重さがまったく違います。偏差値が上がるほど1つ上げるのが難しくなるのは、分布の形そのものが理由です。なおこの対応は正規分布とみなした場合の目安で、満点が多いテストや低得点に固まったテストでは実際の順位とずれます。

式を逆にすれば必要な点数も出ます。得点 = 平均点 +(目標偏差値 − 50)× 標準偏差 ÷ 10。平均60点・標準偏差15点のテストで偏差値65を狙うなら 60 +(65 − 50)× 15 ÷ 10 = 82.5点です。ここでも標準偏差が効いていて、ばらけていないテストでは数点の取りこぼしが偏差値を大きく下げます。

ついでに、偏差値には上限も下限もありません。標準偏差が小さいテストで大きく外れた点を取れば、計算上は100を超えることもあります。実際の模試では受験者数が多く分布がなだらかになるためおおむね20〜80に収まりますが、この計算機は補正をかけず結果をそのまま表示します。

平均と標準偏差 — nで割るかn−1で割るか

偏差値を出すには標準偏差が要ります。模試の成績表には載っていることが多いのですが、学校の定期テストでは出されないことがあります。そういうときは平均・標準偏差の計算にクラスの点数を並べて入れて標準偏差を求め、その値を偏差値計算機に入れれば自分の偏差値が出ます。2つの計算機が続けて使われるのはこの流れです。

標準偏差には2種類あり、どちらを使うかは手元のデータが全部なのか一部なのかで決まります。母集団はnで割り、全員分がそろっていてその集団自体の散らばりを知りたいときに使います。標本はn−1で割り(ベッセル補正)、一部から裏にある全体を推定したいときに使います。標本のほうが必ず少し大きな値になり、データが少ないほど差が開きます。学校の偏差値の文脈では受験者全員を扱うので、ふつうは母集団のほうです。

平均と中央値を並べているのにも理由があります。極端な値が混ざっていると平均はそちらに引っ張られるので、年収や資産のような分布では平均が「ふつうの人」からずれます。この2つの差が大きいなら、分布が片側に偏っているという合図です。

加重平均は、それぞれの値に重みを掛けて足し、重みの合計で割ります。単位数の違う科目や配点の違うテストで使いますが、単純平均は重みがすべて等しい加重平均なので、別の式ではなく同じ式の特別な場合です。

パーセントと歩合 — 基準を取り違えると答えが変わる

パーセント計算機は数値のX%、割合、増減率、割引を扱い、さらに日本でよく使う歩合(割・分・厘)と税抜税込を並べます。

いちばんつまずきやすいのは増減率です。基準はいつも元の値。40,000から50,000への変化は25%増ですが、50,000から40,000へ戻る変化は20%減です。差額は同じ10,000でも、割る基準が違うので答えが変わります。

歩合は今も生きている

割が10%、分が1%、厘が0.1%、毛が0.01%です。もっとも身近なのは野球の打率で、.350を「3割5分」と読みます。ほかにも「3割引」「2割増し」、歩合給などで耳にします。

注意したいのは「割」と「割引」の違いです。「3割」は全体の30%そのもの、「3割引」は30%を引いた残り70%を払うという意味です。10,000円の商品なら3割は3,000円ですが、3割引で買うと支払いは7,000円になります。また「分」は江戸時代の利率などで10%を指した例があるため、古い文献では意味がずれることがあります。

税抜税込も基準の話です。標準税率10%の内訳は消費税7.8%と地方消費税2.2%、軽減税率8%の内訳は6.24%と1.76%。表示価格がどちらか分からないことが多いので、この計算機は片方に決めさせず両方を並べて出します。なお1円未満の端数を切り捨てるか切り上げるか四捨五入するかは事業者が選べるため、レシートの金額と1円ずれることがあります。この計算機は端数処理をせずそのままの値を表示します。